職務上の特許権の帰属
社員が仕事で発明した特許を「社員のもの」とする特許法の規定を改め、無条件で「会社のもの」とする方針を固め、来年の通常国会に特許法改正案を提出するようです。
来年の通常国会に特許法改正案を提出する考え。(朝日新聞デジタルニュース)
職務発明の現状
職務発明に関する特許権は、特に定めがなければ従業員本人に帰属します。
企業は就業規則等において職務発明の特許権を企業に承継させるように定めることができます。
特許権の承継の際には、発明した従業員は企業から「相当の対価」の支払いを受けることができます。
詳しくは、以下にてご確認ください。
職務発明制度の概要 | 経済産業省 特許庁
今回の改正の方針でも、十分な報償金制度を検討していたそうですが、企業側が「条件の内容が不明確で使いにくい」などと反対し、無条件で「会社のもの」にすることとなりました。
著作権では
著作権では、職務著作として規定されています。
職務著作として法人等の組織が著作者となるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
職務著作の要件
- その著作物を作る企画を立てるのが法人その他の使用者であること
- 法人等の業務に従事する者の創作であること
- 職務上作成されること
- 公表するときに法人等の名義で公表されること( コンピュータプログラムの場合には,この要件を満たす必要は無い)
- 契約や就業規則で職員を著作者とする定めがないこと。
詳しくは、以下にてご確認ください。
文化庁 | 著作権 | 著作権制度に関する情報 | 著作権制度の解説資料 | 著作権制度の概要 | 著作者について
無条件での職務特許の問題点
企業側に有利な制度になり、研究職の社員、労働団体は当然に反発するでしょう。
企業を優遇することで競争力を高め、経済成長を促すねらいだが、優秀な研究者が海外の企業に流出してしまう懸念もあると、指摘されています。
研究者、海外流出の恐れ 政府、経済界に譲歩 特許は会社に:朝日新聞デジタル
いずれにしても、企業側の発明とされる要件を、明確に規定する必要があります。
研究者、開発者は企業との雇用契約に際して、その内容を吟味する必要が出てくるでしょう。
企業が研究・開発を主導して製品化をしてきた流れから、新たな知的財産を中心としたビジネスの創設なども起こってきそうです。
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