2015年2月8日日曜日

「渡航の自由」と旅券法

初めての措置

パスポートの画像

シリアへの渡航予定者に旅券返納命令


「イスラム国」による日本人殺害事件により、日本人の安全確保の意味から、外務省は、シリアへの渡航を計画していたフリーカメラマンに対し、旅券法に基づきパスポートの返納を命じ、渡航を差し止めました。

シリア渡航計画の男性に旅券返納命令 NHKニュース

シリア渡航表明:男性にパスポート返納命令 外務省 - 毎日新聞

旅券法での返納命令は初めてとのことですが、渡航の差し止めの措置が行われたわけで、「渡航の自由」との関係が気になります。

憲法では、居住・移転の自由において、「渡航の自由」が認められていると考えられています。
第二十二条  何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
○2  何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

一方、今回の措置の基となる旅券法は、第十九条第一項の第四号によります。
(返納)
第十九条  外務大臣又は領事官は、次に掲げる場合において、旅券を返納させる必要があると認めるときは、旅券の名義人に対して、期限を付けて、旅券の返納を命ずることができる。
一  一般旅券の名義人が第十三条第一項各号のいずれかに該当する者であることが、当該一般旅券の交付の後に判明した場合
二  一般旅券の名義人が、当該一般旅券の交付の後に、第十三条第一項各号のいずれかに該当するに至つた場合
三  錯誤に基づき、又は過失により旅券の発給、渡航先の追加又は査証欄の増補をした場合
四  旅券の名義人の生命、身体又は財産の保護のために渡航を中止させる必要があると認められる場合
五  一般旅券の名義人の渡航先における滞在が当該渡航先における日本国民の一般的な信用又は利益を著しく害しているためその渡航を中止させて帰国させる必要があると認められる場合
2  第十三条第二項の規定は、一般旅券の名義人が前項第一号又は第二号の場合において、第十三条第一項第七号に該当するかどうかを認定しようとするときについて準用する。
3  第一項の規定に基づき同項第一号又は第二号の場合において行う一般旅券の返納の命令(第十三条第一項第一号又は第六号に該当する者に対して行うものを除く。)については、行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第三章 の規定は、適用しない。
4  外務大臣又は領事官は、第一項の規定に基づき一般旅券の返納を命ずることを決定したときは、速やかに、理由を付した書面をもつて当該一般旅券の名義人にその旨を通知しなければならない。
5  旅券の名義人が現に所持する旅券が前条第一項第一号から第四号まで又は第六号のいずれかに該当してその効力を失つたとき、及び公用旅券の場合においてその発給に係る国の用務がなくなり又は終了したときは、国内においては、一般旅券にあつてはその名義人が都道府県知事又は外務大臣に、公用旅券にあつては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては旅券の名義人が領事官に、遅滞なくその旅券を返納しなければならない。
6  返納すべき旅券(第一項の規定に基づき返納を命ぜられた旅券を除く。)の名義人がこれを保有することを希望するときは、返納を受けた都道府県知事、外務大臣又は領事官は、外務省令で定めるところにより、その旅券に消印をしてこれを当該旅券の名義人に還付することができる。
今回は、時期が時期だけに、日本国が自国民の安全を確保するために行われた措置と理解はできます。
事件が起きたのちであり、直接の危険性が危惧されるので、強い措置がれれたのでしょうね。

こういった措置が、日常的に行われていくようになると、「渡航の自由」との問題が議論されるひつようがあるでしょうし、ジャーナリストという職業の方達の活動に制限が行われるとなると、さらに「報道の自由」との問題も生じる可能性も考えれます。


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