2014年10月12日日曜日

過失相殺率の認定基準

過失相殺


交通事故実務のバイブル

交通事故というと、過失割合の問題が当事者としては気になる問題となります。

交通事故の当事者の過失(不注意)の度合いを割合で表したものが、過失割合で、100:0 とか、9:1 とかと表されます。

この過失相殺は、自らの故意過失に基づく損害を第三者に転嫁すべきでないとの公平の理念によるものです。

民法で、不法行為に関して、
被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる
(民法722条2項)
と規定されています。
ですから、過失相殺は、裁判所の裁量に任せられており、個々の交通事故ごとに、それぞれの要素を考慮して過失相殺率を決めることになります。

しかし、交通事故の同一の事故類型において、裁判官のより過失相殺率がまちまちになると、法的安定性、事故解決の予測可能性の観点から望ましくはありません。

過失相殺の基準が必要と考えられ、交通事故に携わる裁判官から基準が発表されるに至りました。

「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」が策定され、何度かの改訂を経て、本年「全訂5版」が出されました。

これまでは、平成16年11月に発表された「全訂4版」が使われてきましたが、今後はこの「全訂5版」が最新の基準として、使われていきます。

最新版の内容


「全訂5版」では、これまでの交通事故類型に、以下の事故類型が加えられました。

  • 歩行者と自転車との事故
  • 駐車場内の事故

歩行者と自転車との事故は、これまで事故類型としてまとめられておらず、歩行者と四輪車・単車との事故類型が流用されていました。
歩行者と自転車との事故による争いが増加してきたことへの対応で、行政書士が行っている、自転車事故の ADR においても使われていく事と思います。

駐車場内の事故に関しては、駐車場が「道路」であるか否かといった問題もありますが、郊外型のショッピングモールなどで、事故がトラブルへとなった場合、大いに参考となるでしょう。

基準の利用


この資料は、もちろん事故類型から過失相殺率を導くといった使用方法となりますが、序文部分から、交通事故を理解する、重要な資料となっていると思いますので、「バイブル」であると思います。
交通事故実務に関わる方は、必読であり、必携であります。

損害保険会社の担当者は、参考書類に当てはめて、過失相殺率を告げきますが、無理やりに類型に当てはめていて、納得しがたい場合も見られます。

交通事故への、基本的考え方を理解するための参考書としても、完成度の高い資料と思います。

当事務所でも、購入しています。
今後の交通事故実務で大活躍する事と思います。


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